稼げる弁護士になるには、長い下積み期間を経る必要があります。

稼げる弁護士になるには

 

弁護士の報酬イメージ

 

弁護士の仕事には刑事と民事による大きなカテゴリーがあり、そこから幅広い分野や業態に枝分かれしています。
全般的に刑事より民事の方が稼ぎやすいと言われていますが、刑事事件でも腕が良くて実績を残していれば高額な報酬を得られる案件を多数こなすことが可能です。

 

簡単にまとめると、特定の専門分野を極めて評判を上げれば稼げます。
ただし、分野によっては低収入かつ激務の環境での下積み期間が必要になります。

 

また、稼げるかどうかは都心部と郊外など地域格差による影響が大きいです。
弁護士の年収目安を知りたい方はコチラの記事も併せてご覧になってみてください。

 

\弁護士はどのくらい稼げる?/

 

ファームでパートナーを目指す

 

ファーム(ローファーム)を和訳すると法律事務所になりますが、業界用語でのファームは弁護士がたくさん所属する大手法律事務所のことを指します。

 

パートナー弁護士は共同経営者という立場になり、一部の大手はシニアパートナーやジュニアパートナー、エクイティパートナーなど複数の区分に分けられています。
パートナー弁護士の収入はその法律事務所の利益に応じて分配される歩合制です。

 

そもそも大手ファームは銀行・金融系やM&A、知的財産をはじめとした大型案件が入ってくることが多く、大企業との顧問契約を多数持っています。
大手ファームのパートナー弁護士は年収が1億円を超えることもあり、弁護士の中でも最上位の肩書きだと評されています。

 

自身で小規模の法律事務所を立ち上げて経営者になるよりも、大手ファームのパートナー弁護士(共同経営者)になった方が稼ぎやすいです。
ただし、100名以上の弁護士がいる大手ファームでパートナー弁護士になれる人は平均7%程度と言われていて、大手ファームに就職しても安泰とは言い切れません。

 

実績のない新人弁護士は雑務や報酬の低い案件を中心にしたアソシエイト弁護士から始めることになり、報酬に見合わない激務が待ち受けているケースが多いです。
地道な下積みを経てパートナー弁護士などへ出世していくのが定番の流れですが、稀に他の法律事務所や裁判官・検察官で実績を残したベテランが最初からパートナー弁護士として移籍してくるケースもあります。

 

法律事務所の看板

 

金融関係のイメージ

 

稼ぎやすい弁護士業務の分野は金融不動産M&A億単位の金額を争う民事訴訟(企業への賠償請求など)が挙げられます。
ただし、難しい専門分野を扱っていたとしても、法律事務所の看板がなければ大きな案件が滅多に入ってきません。

 

大企業や金融機関、資産家などは弁護士の手腕を評価していても、所属する法律事務所の規模が小さければ慎重になります。
看板の力が弱い法律事務所だと、金融やM&A、知的財産など報酬単価が高い依頼を獲得するまでの営業活動に苦労します。

 

こうした分野で高みを目指すのであれば、大手ファームでのパートナー弁護士を目指した方がいいでしょう。
一方で離婚や相続、中小企業の法務は、地域密着型の法律事務所が選ばれやすい傾向があります。

 

弁護士の報酬は自由設定

 

弁護士報酬は原則として個々の弁護士が自由に設定できます。
刑事事件の国選弁護士や法テラスを通じた相談業務など定額の報酬もありますが、いずれもこうした仕事のみで生計を立てている弁護士は少ないです。

 

刑事事件でも私選弁護士で全国から依頼者が殺到する凄腕になれば高収入が可能ですし、薄利にして営業効率を高めた方法で稼ぐケースもあります。
実績があって評判が良い弁護士や、人脈や営業力がある弁護士も分野を問わず稼げます。

 

合意さえあれば報酬を自由に設定でき、争う金額や主張する内容が大きくなるほど報酬が高くなる弁護士の仕事で稼げるかどうかは、それぞれの努力とやり方次第です。

 

独立すべき?

 

アソシエイト弁護士など雇用される立場だと、経営者の取り分があるだけ稼ぎにくくなります。
大手ファームであればパートナー弁護士になった際の恩恵が大きいですが、小規模の法律事務所はパートナー弁護士になることが大幅な収入アップへ繋がるとは限りません。

 

自ら獲得した仕事を含めて相応の利益が出ている法律事務所でなければ、独立することで年収・待遇・勤務環境が悪化するリスクがあります。
独立して個人の法律事務所を立ち上げた際に顧客を引き抜ける環境の方や、新規開拓する自信があれば独立した方がいいです。

 

昨今は雇用される立場で管理職のようなポジション(カウンセル弁護士)を用意する法律事務所が増えているので、独立やパートナー弁護士にならないで稼ぐこともできます。
いずれにしても弁護士は就職する時点でキャリアアップの道が限定される傾向があるので、ビジョンを明確にした上で就職活動するとよいでしょう。

 

※のついている5つの士業は司法試験合格でなれる仕事です。
法曹資格でも全ての士業の資格を得られるわけではないので注意しましょう。

 

弁護士以外の士業になる理由

 

士業の代表格・税理士

 

まずはじめに、司法試験合格者が他の士業の一部業務をそのまますることもできますが、その士業を名乗って仕事をするには登録が必要です。
たとえば弁護士が税理士になろうとした場合は税理士会に登録する必要があり、各士業の登録には費用がかかります。

 

司法試験に合格したのに、弁護士ではない士業だけの道へ進むメリットは見当たりません。
なお、裁判官と検察官は公務員ですので、他の業務(副業)をするのは禁止です。
他の士業の資格も付与されるのは、司法試験合格は幅広い知識が求められる制度上のものだと思ってください。

 

弁護士をしながら他の士業を兼務することもできますが、弁護士の仕事は激務であることや他の士業と実務で求められる専門性が異なる理由から兼務する弁護士は少数派です。
なお、登録を受けて他の士業を兼務していた場合でも、弁護士が弁護士会から懲戒処分を受けて業務停止等になった時は、原則として他の士業もできなくなります。

 

登録と業務は別の区分

 

一例として司法試験合格者が司法書士として登録することはできませんが、登記手続きを行うことは可能です。
司法試験合格者が登録できる士業と、法曹資格を保有していれば登録しなくてもできる業務があることを覚えておきましょう。
登録せずに業務を行う場合は細かく範囲が定められているので、ひとつひとつ確認する必要があります。