国選弁護人となるまでの流れと報酬
国選弁護人になるには、法テラスと国選弁護人契約を結ぶことです。
弁護士資格を持っていれば特別な条件はなく、立候補さえすれば高確率で国選弁護人契約を締結でき、その後は法テラス(日本司法支援センター)が事件に応じて候補を指名し、裁判所が専任する流れです。
弁護士の中で国選弁護人は人気が高い業務ではないため、弁護士資格を持って国選弁護人の弁護活動をすれば、一定の収入を得ることが可能です。
国選弁護人とは
弁護士を目指している方であれば理解していると思いますが、国選弁護人は刑事事件の被疑者・被告人で資力が少ないなど一定の要件を満たす方が無料で利用できる弁護士です。
弁護士報酬は税金が負担。国選弁護人を選ぶ方は弁護士を指名することができず、仮に対応が悪かったとしても裁判所の許可がない限りは変更することができません。
稀に国選弁護士では不利になる理由から、任意で刑事事件を専門に扱う私選弁護士へ変更するケースがあります。
弁護士報酬について
国選弁護人の報酬は事件の内容や求める内容(公訴事実を認めているか無罪主張か?)と、裁判の期日の回数・接見の回数によって変わります。
私選弁護人と比較しながら、刑事事件における弁護士報酬の相場をご覧ください。
一般の認め事件
国選弁護人:10万円以下
私選弁護人:50~70万円
無罪主張(1年以上の長期案件)
国選弁護人:20~30万円
私選弁護人:100~200万円
起訴前弁護
国選弁護人:依頼不可
私選弁護人:30万円~
状況によって多少の前後はしますが、国選弁護士の報酬が1つの事件で30万円を超えるケースは非常に少ないです。
私選弁護人は起訴前弁護をするだけでも30万円以上必要になります。
全体的に私選弁護人の報酬に比べて3~5分の1程度になることが多く、国選弁護人は弁護士の中でも報酬の低い仕事です。
接見でコツコツ稼げる?
国選弁護人の報酬は接見回数が多いほど増額されます。
基本的に留置場への接見1回につき2万円の報酬を得られるため、他の業務がない場合は接見回数をこなすことでコツコツ稼ぐことが可能です。
ただし、弁護士の業務として移動を伴う接見1回で2万円の報酬は安く、多くの弁護士は必要がないと判断すれば無駄に接見で報酬を稼ぐことをしていません。
国選弁護人の特徴
国選弁護人になる弁護士は以下のパターンがあります。
- 国選弁護人の肩書きを得るために、最低限の依頼を受けている
- 法テラスから民事の案件や相談業務の依頼を多数こなしたい思惑がある
- 正義感から慈善事業に近い形で国選弁護人を引き受けている(民事など他の仕事で収入を確保している)
- 刑事事件の実績を積んでキャリアアップをしたい
- 独立開業したが依頼が乏しいため(致し方なく)
大きく分けて、将来性を含めたお金やキャリアを目的として国選弁護人をこなすケースと、正義感や弁護士の使命から報酬にはこだわらずに務める2つのケースがあります。
一部で独立開業したけど依頼を獲得できず、消去法で国選弁護人をメイン業務にする弁護士もいます。
こうした目的やキャリアの違いから、国選弁護人は弁護を依頼する人から見て当たりハズレが大きいです。