海外の弁護士事情-職業の需要や労働環境を確認してみましょう。

海外の弁護士事情

 

海外の弁護士イメージ

 

弁護士の労働条件や資格(試験)、人数などは国によって様々な事情があります。
昨今は元皇族の眞子様と結婚した小室圭さんが、アメリカ・ニューヨーク州の法律事務所へ就職したことで海外の弁護士事情が大きな注目を集めました。
日本を含めた主要国の弁護士事情をまとめました。

 

日本

  • 最難関の国家資格
  • 弁護士1名から独立開業可能
  • 刑事と民事の両方をこなせるが、どちらか一方を専門にする傾向が強い
  • 着手金+(成功)報酬金の料金が主流
  • 平均年収は1,000万円ほど
  • 初任給は年収400~600万円程度
  • 地方では平均年収600万円以下になることも
  • 離婚など個人訴訟の需要が高い(片親親権が国際問題、不倫は慰謝料請求が可能など)

 

アメリカ

  • 州ごとで実施する試験に受かる必要がある(日本でいう国家資格ではない)
  • 報酬形態は時給が主流(時給100~300ドルが相場)
  • 平均年収の地方格差が大きい(NY州は初任給で2,000万円前後、郊外は平均年収600万円など)
  • 世界最大の経済大国で弁護士の需要が高い
  • 州によって法律が異なる(州によっては不倫でも慰謝料請求できないなど)

 

中国

  • 法律事務所を開業するには最低3人以上の弁護士在籍が必要
  • 弁護士になるには国籍要件がある(外国人、香港人、台湾人は試験資格がない)
  • 急速に経済発展した特性から弁護士の歴史が浅い
  • 若手弁護士の活躍が目立っている
  • 都市部と郊外で年収が数十倍以上違うこともある(地域格差が世界トップクラス)

 

イギリス

  • 訴訟専門のバリスタ事務的な法手続きを専門とするソリシタに区分されている
  • 司法試験に相当する試験はなく所定の法曹養成課程と実務研修で弁護士になれる
  • 試験はないが研修先を自分で見つける必要があり、その難易度が高い
  • 初任給はアメリカに近い(日本円換算400~2,000万円ほどで地域格差が大きい)

 

ドイツ

  • 国家資格(司法試験がある)
  • 弁護士1人あたりの国民数が約500人と多い(日本は約3,000人)
  • 平均年収は先進国の中で低め
  • 弁護士事情が比較的日本に近い

 

発展途上国

  • インハウス(企業内)弁護士が多い
  • 弁護士の職に就ければ安定する傾向がある
  • 郊外は裁判所がなく、弁護士の需要が極めて低い

 

国によって事情は様々

 

ご覧の通り、弁護士の事情(労働条件や人数、資格制度、依頼の傾向、地域格差など)は国によって様々です。
日本の弁護士と同じイメージで海外の弁護士を目指してはいけません。

 

上記で紹介した国ごとの特徴もほんの一部です。
海外の弁護士や海外との取引に興味がある方は、その国の弁護士事情と法律を入念に調査しておきましょう。

 

労働時間について

 

長時間労働のイメージ

 

労働時間は国と勤務する法律事務所、立場によって様々です。
環境によっては何日も眠らずに働く日本以上の激務が待っています。

 

ヨーロッパの場合、都心部の大手ファームは激務でも長期バカンスの取得率が高いなど、国ならではの特性があります。

 

同じ国でも様々な働き方・環境がありますが、労働時間や休日数は民間企業の働き方に準ずるものだと思っておくとよいでしょう。
弁護士の人数が多いからと言って弁護士1人あたりの業務量が少なくなるとは限りません。

 

弁護士が多いほど法律・判例が複雑になる傾向があるため、どこの国の弁護士もそれなり(一般的な会社員以上)に激務です。

 

日本人の国際弁護士需要

 

国際弁護士という資格はなく、日本と海外のダブルライセンス取得者か海外の弁護士資格を持って、資格保有国以外の国と取引する弁護士を国際弁護士と呼びます。
昨今はリモート相談サービスの普及によって、現地の弁護士資格を保有する海外在住の日本人弁護士需要が高まっています。
ただし、中国をはじめ国によっては弁護士試験の受験資格で国籍要件があるので注意してください。

 

また、日本の場合は制度上は国籍に関係なく司法試験を受けられますが、実際のところは日本語を母国語にしている人でないと合格するのが困難です。
一方でアメリカの場合は外国人だと合格率が低くなるものの、日本人を含めて世界中の人が現地の弁護士として活躍しています。
無条件で国際弁護士をオススメできるものではないですが、世界的な経済成長やZOOM・電子申請などITツールの進化によって国際弁護士で活躍するチャンスが高まっています。

 

なお、小室圭さんに関する報道で有名になりましたが、アメリカ・ニューヨーク州で弁護士になると初任給で2,000万円前後の収入を得られますが、物価が日本より桁違いに高いです。

 

報酬単価や仕事の需要が高ければ豊かな生活が待っているとは限りません。
先進国の弁護士は最難関資格で医師と並ぶ高収入の職業という共通点があることだけ覚えておけばよいでしょう。