弁護士資格を悪用して犯罪を行っても剥奪されることがありません。

弁護士資格を悪用した犯罪

弁護士バッヂを示す弁護士

 

弁護士資格を悪用した犯罪は主に次のパターンがあります。

 

  • 預り金等の横領
  • 依頼人と金銭の貸し借りをした
  • 事務員を含めた不適切な弁護活動
  • 謄本などの不正開示
  • 賄賂を受け取って依頼人に不利な弁護をした
  • 交渉相手への脅迫

 

明確な犯罪と呼べる事例でもっとも多いのは横領です。
弁護士会から懲戒処分を受ける事例では、事務員に非弁活動をさせる行為の不正が目立ちます。

 

お金に絡んだ犯罪が多い背景

 

汚いお金のイメージ

 

弁護士の犯罪事例では横領賄賂などお金の絡んだ内容が多いです。
高収入を得られる弁護士がリスクを背負ってお金の絡んだ犯罪に手を染めるのは意外に感じるかもしれませんが、お金を持っている人ほど大きな損失を出しやすい特性があります。

 

主に投資やギャンブルが原因です。
他にも夜遊びや身内との金銭トラブルなどを理由でお金に困っている弁護士がたくさんいます。

 

楽をするための不正

 

楽をするための不正は事務員やパラリーガルなど弁護士資格を持たないスタッフに、本来は弁護士でないとできない業務を任せることです。
ベテラン弁護士に多く見られる事例で、他のスタッフに仕事を任せて自分が楽をしようとする怠慢さが原因になっています。

 

勝つための犯罪

 

勝つための犯罪では、戸籍謄本などの不正取得犯罪行為で証拠を獲得交渉相手への脅迫などが挙げられます。
罪を犯してでも裁判で勝とうとするのは、成功報酬による見返りのほか、正しいことを証明したい正義感、負けたくないといったプライドなどの理由が多いです。

 

弁護士を舞台にしたドラマや映画では、弁護士が不正ギリギリの危ない橋をわたるシーンをよく見ますよね?
件数は多くないですが、フィクション作品で描かれる不正を実際に弁護士が犯すケースを散見されます。

 

犯罪を行った弁護士の処分

 

罪を犯した弁護士にレッドカードを突きつける

 

犯罪行為をした弁護士は、一般人と同じように民事責任・刑事責任によって法で捌かれるケースと、弁護士会からの懲戒処分を受けるケースがあります。
法律の専門家である弁護士を理由に法的責任を強く追及されることも多く、横領では弁護士が懲役刑を受けた事例が多数あります。
このほか痴漢など業務以外で弁護士が刑事罰を受けるケースが多いですが、弁護士資格を悪用した犯罪では横領以外で起訴されるケースが少ないです。

 

刑事罰を受けない犯罪であっても弁護士会からの懲戒処分を受けることになります。

 

  • 戒告(弁護士に反省を求め、戒める処分です)
  • 2年以内の業務停止
  • 退会命令(弁護士会退会で弁護士の身分を失うが、弁護士資格は残る)
  • 除名(弁護士と資格を失うが3年経過すれば復活できる)

 

参考元URL 日本弁護士連合会 懲戒制度

https://www.nichibenren.or.jp/legal_advice/petition/chokai.html

 

上記4種類の懲戒処分があり、弁護士は懲戒免職のように一生弁護士資格を失う処分がありません。
懲役刑を受けても罪を償えば再び弁護士として活躍できます。

 

\弁護士に定年はある?/

 

犯罪を行った弁護士の資格が保護されているのは、過去の過ちを弱みにされるリスクを軽減するためです。
なお、賠償問題が発生すれば弁護士が民事責任を追うことになり、弁護活動や証拠確保を巡る不正がバレれば高額な損害賠償請求を受けることになります。